御社では、なぜ なぜ分析を活用していますか?
製造業では「認知度」が高い分析手法の一つですが、意外と使われていないのではないでしょうか?
私の支援先でも小さい会社ほど「聞いたことはあるが、した事はない」といった意見が多いです。
そんななぜなぜ分析についてお話します。
なぜ なぜ分析(5Whys)とは
なぜ なぜ分析は製造現場で問題の原因を発見するための原因分析手法です。
問題の深堀をしていく事で、真因を見つける事で再発防止につなげる事ができます。
トヨタ生産方式の代表的な手法の一つで、5回「なぜ」を繰り返す事で対策の有効性をはかっていきます。そのため英語では「5Whys」と呼ばれているそうです。
なぜなぜ分析を行っていくために、要因・原因・真因について正しく言葉を理解しておきましょう。
要因と原因
要因は「物事の成立に必要な因子」
原因は「ある物事や状態をひき起こすもと」
Oxford Languages
とあります。
使い方として「成功の要因は?」「失敗の原因は?」といった使い方があり、
物事を成立させるもの=ポジティブな事が多いのが要因で
物事を引き起こすもの=ネガティブな事が多いのが原因です。
つまり意図して行った物事に対するものと
意図せず起こってしまった物事に対するものに区別できると考えます。
真因とは
真因は真の原因、本当の原因の事です。
意図せず起こってしまった物事に対する原因の一番根っこにあるものであると考えます。
原因分析手法のなぜ なぜ分析
なぜ なぜ分析は原因分析手法の一つです。
特に現場で起きる問題の原因を探る事が得意であり、真因に迫っていく事が出来るので、
なぜ なぜ分析を極める事で、問題を取り除く可能性が高まります。
真因を捉えられるかは、論理的な考え方を身に付け、鍛えていく必要があります。
なぜ なぜ分析のやり方
なぜ なぜ分析のやり方はいたってシンプルです。
発生した問題に対して、なぜなぜを5回繰り返すだけです。
シンプルで誰でも挑戦できる事が、魅力であると同時に難しさがあります。
人によって全く違う結果が出てくるのです。
トヨタ 改善提案 事例
トヨタ生産方式を体系化された大野耐一さんは
『トヨタ生産方式―脱規模の経営をめざして―』<刊行:ダイヤモンド社1978年>の中で、
以下のような仮定を上げています。
(1)「なぜ機械は止まったか」
『トヨタ生産方式―脱規模の経営をめざして―』<刊行:ダイヤモンド社1978年>から引用
「オーバーロードがかかり、ヒューズが切れたからだ」
(2)「なぜオーバーロードがかかったのか」
「軸受け部の潤滑が十分でないからだ」
(3)「なぜ十分に潤滑しないのか」
「潤滑ポンプが十分くみ上げていないからだ」
(4)「なぜ十分にくみ上げないのか」
「ポンプの軸が摩耗してガタガタになっているからだ」
(5)なぜ摩耗したのか
「ストレーナー(濾過器)がついていないので、切粉が入ったからだ」
5回の「なぜ」を繰り返すことによってストレーナーを取り付けるという対策を発見できたのである。
ヒューズが切れた事が機械が止まった原因ではあるが、ヒューズを変えてもまたすぐに機械が止まってしまいます。
同じようにポンプの軸の新しい物にしたとしても、摩耗が進めばまた同じように機械が止まってしまうでしょう。
ポンプが摩耗しないように対策をする事で真因をつぶす事につながったという内容です。
真因を追求していくために、なぜ なぜ分析が非常に有効であったことがわかります。
それと同時に、真因が分れば対策は非常にシンプルである事も特徴的です。
4m分析で情報を的確にとらえる
大野耐一さんは、著書の中で発想を導き出す事にも使用されています。
現場の問題だけでなく、製造業が抱える問題に対し、なぜなぜをしてみる事で解決方法が見えてくるという非常に素晴らしい手法です。
製造業が抱える問題を捉えるうえで、生産要素を考える事が一つのポイントになります。
論理的に考察するために生産要素4mを是非覚えてください。
生産要素4m
生産の要素は4mで表す事ができます。
- Man(マン) 人
- Machine(マシーン) 機械
- Material(マテリアル) 材料
- Method(メソッド) 方法
これらが、生産するために必要な要素です。
私も普段から原因を探る時には、4mやqcdでものごとを捉えるようにしています。
この4mを意識したうえで、なぜ なぜ分析を行っていくとさらに効果的になると考えます。
4m分析×なぜ なぜ分析
4m分析はこの4つの要素について分析を行うものです。
なぜなぜ分析を行う際に以下の影響を考察します。
- 人の影響は?
- 機械(道具)の影響は?
- 材料の影響は?
- 方法の影響は?
と考えてみる事で、より論理的な考察が出来るでしょう。
なぜ なぜ分析フォーマット
4m分析×なぜ なぜ分析のフォーマットをダウンロードできます。
名前とメールアドレスの送信頂くと、ダウンロードページが表示されます。
4mの影響を考える事で、真因に近づきやすくなります。
なぜなぜ分析のポイント
なぜなぜ分析では論理的である事が求められます。
言葉と言葉(事実)のつながりが非常に重要です。
実際に行うときは、現場でなぜを確認しながら行くと良いでしょう。
そこに事実がないのに、進めても仕方がありません。
論理的につながっているか確認するためには、なぜ5からなぜ1に向かって逆から文章を確認します。その際は語尾を~だから、~から⇒~だったとしてみると文章のつながりがおかしいのかどうか確認する事ができます。
原因から結果が起こるわけなので、本来の時系列でみてみると分かりやすいのです。
5.ストレーナー(濾過器)がついていないので、切粉が入ったから、摩耗した。
4.ポンプの軸が摩耗してガタガタになっているから、十分にくみ上げなかった。
3.潤滑ポンプが十分くみ上げていないから、十分に潤滑しなかった。
2.軸受け部の潤滑が十分でないから、オーバーロードがかかった。
1.オーバーロードがかかり、ヒューズが切れたから、機械が止まった。
まとめ
なぜなぜ分析はシンプルに5回「なぜ」を繰り返します。
シンプルな分だけ難しい部分がありますので、4mの影響を加味して考察してみると良いでしょう。4m分析×なぜなぜ分析フォーマットをダウンロードして、使ってみてください。
私の研修では、グループで一緒に一つのなぜなぜ分析を完成させます。
そうする事で、人の意見を聞き、自分なりの解釈を持ち、グループの意見として一つに集約されていきます。
定番の手法ですが、使ってみた事のないようでしたら、是非4m×なぜなぜ分析フォーマットをダウンロード頂き、活用してみてください。